言葉かけだけで発達障害が治るもんか


http://sankei.jp.msn.com/life/education/100419/edc1004190041000-n1.htm


これはいかんよ。


「俺の邪悪なメモ」跡地こちらで、この記事を知ったわけだが。


我が家の自閉症の娘は、現在12歳。この記事で言うところの、2、3歳の頃には、心配して色々なことをやった。言葉かけ? えぇ、やりましたとも。それこそ必死に。少しの変化に一喜一憂する日々。子供の将来を心配し、自分の人生設計の見直しを迫られた10年前。今思い出しても、暗黒の日々だった。


発達障害の子だって、発達はしているんですよ。その子なりのスピードで。時たま、急速に発達する時期もある。そのタイミングと、トンデモ療法を受けた(或いは試した)時期が”偶然”重なると、それは全てトンデモ療法の”勝利”として喧伝されてしまう。違うよ。がんばって勝利したのは、あくまでも”発達障害の子”なのさ。


うちも一時期キレーションとかやったよ。夜中にネトゲやりながら睡魔と闘い、2時間ごとに子供を起こして薬を飲ませる・・・。子どもが可哀想だったよ。それでなくても、睡眠障害だったし。それで何か変わったか、といえば、全く効果なし。他にも、藁にもすがる思いで色々調べた。試してみた。ネットの情報に一喜一憂した。全く変化のない娘に、イライラが募ったさ。


でも、疲れ果てて何も出来なくなった頃、びっくりするほどの発達を見せた。トイレも自立し、絵も描けるようになり、文字も覚えた。言葉も増えた。この時期は、ホント何もしていない。なのに伸びた。それで気づいた。


子供が安心して過ごせる環境を作ってやることが大事なんだ、って。


発達障害って簡単に言うけど、その症状は1人ひとり違う。一括りには絶対にできないし、ましてや「こうすれば治ります!」なんてことは絶対に無い。画一的な治療法を試すより、わが子に合った療育施設、環境、ガジェットを探す方がいい。親はあまりムキにならない方がいい。ムキになると子供を追い込んでしまうから。発達障害の子だって、逃げ道は必要だもん。発達障害の子供を何とか発達させたい、って、切実な親の願いなのかもしれない。でも考えてみ。それは残酷な親のエゴなんだよ。


そう気づいてから、我が家はユルユルです。もちろん、社会的に問題になるようば行為は親の責任で被害を最小限に止めるように努めています。


でも、視野狭窄を起こしている親は、こういうニュースに飛びつくんだろうな・・・。


追記

http://blog.rote.jp/2010/04/22-120046.phpでも書かれているけど、元記事冒頭にでいきなり登場しているhttp://www.ans.co.jp/k/kyouiku/。この名前だけ見たら、公的機関と誰もが思うハズ。現に、公的機関で、東京都教育相談センターとかありますし。

でもさ、地図をよく見るとホームページ移転のお知らせって書いてあるわけで。一学校法人の関連団体なんですよね。

元記事の中で、どういう団体なのか全く言及していないのは、単に筆者がアフォで確認していないだけなのか、知っていてわざと言及していないのか、それは分からない。いずれにしろ、全県的なサンプルでも無いのに、ここまで大風呂敷を広げるなんて、どうかしてる。

さらに読者のミスリードを誘うのは、この文章に続いて「埼玉県教育委員会が平成17年に発表した調査によれば」として、無理やり「さいたま市教育相談センター」と「埼玉県教育委員会」を関連付けてしまっていること。この文脈なら誰もが騙される。

おいおい、いくら外部筆者とはいえ、ひどすぎだろ、3K・・・。

おや、こんな時間に誰か来たようだ。