松野明美さんの当選に思う


http://www.47news.jp/CN/201004/CN2010042501000604.html


ダウン症のお子さんを持つ、元マラソンランナー松野明美さんが、昨日投開票の熊本市議増員選挙で、見事当選した。


五輪中継やTVのバラエティ番組でしか彼女は知らない。時に芸人がドン引きするほどのテンションを見せる彼女を、「ストイックな競技人生を終えたら、一気に弾けちゃったのかな・・・」ぐらいにしか思っていなかった。実際はその裏で、私たち夫婦のような、障害を持つ親同様の葛藤を経験されたのだろう。


その彼女が選挙に出る、とニュースで見たとき、不思議と意外な感じはしなかった。人気票を目当てに政党から担ぎ出されるタレント議員とは違い、「障害のある子どもたちのために、できることをやりたい」という、真っ当な出馬動機がすぐに思い当たったからだ。


「障害者の声を政治に!」と訴えても、中々当選することは難しい。障害を持ったお子さんを持つ知人が、数年前に市議選に立候補したことがあった。結果はあえなく落選。この時、障害云々を標榜しても、票は取れないのだ、と実感させられた。


障害者手帳療育手帳を持っている人や、その肉親の数を合わせれば、市町村議会選挙なら、恐らく当選ラインは超えられるはずだ。だが、現実には障害者の権利擁護を掲げて出馬しても、当事者たる障害者、特に知的障害者に、その訴えを理解してもらうのは難しい。だから票に結びつかない。悲しいけど、これ現実。もっと松野さんのような知的障害者が身近にいる人が、政治の場に出てきて欲しいと願ってやまない。


来年4月までの、限られた任期しかない松野さんだが、今後「政治家」として、どのような走りを見せてくれるか、見守りたい。


そして頼むから、大政党の甘い誘いにのって、半端な形で国政に出ていかないでほしい。ただのタレント議員にはなってほしくありませんから。